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診断さんのリクエスト:いちうぐ(刀剣乱舞) うみこさん(@umikoumincu)から

 鶯丸という人物は一期一振にとって、そのほとんどが理解不能な相手だ。
 わからないからこそ興味を惹かれるというのは、悔しいことに事実である。それを今、一期一振は現在進行形で嫌と言うほど痛感していた。
「気が立っているな、一期一振」
 縁側に引っ張り出してきた座布団の上に正座してのんびりと茶を愉しんでいる鶯丸が、のんびりと口を開く。
 視線は、ふんわりとした白い雲が浮かぶ青空に向いていた。まるで、今日の天気について話しているかのようだ。
 名指しされている以上、天気の話でないことは確実なのだが。大体、空模様はのどかなことこの上なかった。荒れる様子はどこにも見られない。
 だとすれば、やはり誤解のしようもないわけで。
「……そうでしょうか」
 気が立っていると言われれば、そうなのかもしれない。
 とにかく、わからない。なにがわからないって、目の前の男のことがさっぱりわからない。
 わかりたいのか、わかりたくないのかすらわからない。このような意味のわからなさに苛まれるくらいなら視界から消してしまいたいのに、実際にそれをするとますます心が乱されるのだからどうしようもなかった。一期一振の中には、この如何ともしがたい状況をなんとかする方法が存在しないようである。
「はあ……」
 出来ることといえば、深いため息をつくことだけ。すぐ隣であからさまなため息を吐く一期一振のことを鶯丸がどう思っているのかなんて、そんなことを考える余裕すらない。
 きっと、なにかしら考えられていればどうしようもなくいたたまれなくなるだろうし、完全に気にもされていなければそれはそれでますます気分は落ちるのだろう。自分自身の面倒くささを目の当たりにして、ため息はますます重くなる。
 それでもなるべくマトモに見える表情を貼りつけようと努力していたら、目の前に湯気の立った湯呑みが突然出現した。先刻まで、鶯丸が手にしていたものだ。
「まあ、茶でも飲め」
「はあ」
 茶でも飲んで心を落ち着けろ、ということなのだろうか。茶が好きな鶯丸の思いつきそうなことではある。
「では、いただきます」
 深く考えずに、差し出された湯呑みを受け取った。ぼんやりと口をつければ、ほどよい温かさの緑茶が口内を潤していく。
 苦味より甘味の強い茶は、どこのものなのだろうか。ほんの少しだけ、ささくれだった心がなだめられていくような気がする。
 もちろん、ただの気のせいなのだろうが。
「ああ、そういえば」
「はい?」
 ぼんやりと茶の味を堪能しながら湯呑みの中へと視線を落とせば、茶柱が立っていた。もしかしたら鶯丸は、このことを知っていて一期一振にさっきまで自分が飲んでいたはずの茶を振る舞ってくれたのだろうか。
(……ん?)
 一瞬、なにかが引っかかった。だが、あえて無視する。これは追求してはいけないやつだ。気にしたら負け、と全力で理性と本能が危険信号を発している。
「今の世では間接キスというらしいな、それ」
「ぶふっ」
 ──なのに、あっさりと言及されて。
 どうすればいいかわからなくなった一期一振は、結果的に口に含んでいた茶を思いっきり噴き出した。


02:54 PM - 12 Oct 15 via Twishort web app

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