@pkgmousou
【小話にもならなかったモノ】


朝日が大分、眩しい季節になってきた。
室内を彩るいくつもの植物が、日差しを浴びてきらきらと照る。その脇に置かれた、飾り気のない真っ白なフォトフレームも。
白い指がそれに、そっと伸びて、なぞるようにふちを撫でた。
そして、ぱたりと伏せてしまった。

さらさらと響く衣擦れの音。
ドレープ性の良い生地はたおやかに腕を滑った。続いて腰飾り、首飾り、その上から厚手のマントを。
それから髪を束ねにかかる。ぱら、と肩口から零れる長い髪を、少し細めた眼で見やった。

ゴムを咥えて、手慣れた動作で髪を束ねて。
誰かにさせた事はない。バイジャにさえも、一度たりとも。
綺麗にゴムでくくりあげ、エメラルド色の髪留めをぱちんと嵌めて。
それからようやく、
姿見を見た。

…よし。整った支度、小さく吐いた息。
かちゃりと玄関を開けて、階下のオフィスに降りて行く。朝の日差しが、桃色の髪を照らした。

fin.


01:53 PM - 25 May 13 via Twishort website

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