よく言われる「著作権を侵害する恐れのある作品」についてちょっと書かせて頂きます。
最近「一部の過激派による自重やマイルールの押し付け」の迷走っぷりにちょっと戸惑っていて、このままでは迷走どころか二次創作の自滅・低迷にも繋がりかねないのでそれを危惧しています。
本当にざっくり言いますので、これなら大丈夫やろという一つの目安としてお考えください。
ちなみに私は現役で何らかの創作する側として働いている訳ではありません。「元・どこかの版元側の人間」とぼんやり覚えておいて頂けると助かります。色々な意味で身バレが本当に恐ろしいのでこんな曖昧な表現になってます。ご容赦願います。
版元が「こういう作品は禁止」と具体的な例を挙げない理由は二つあります。
ファンの創作意欲を削いだり表現の自由を侵害する事を望んでいないというのが一つ。
それともう一つは何か有った時に「自分達は関係ありません」というスタンスを貫く為。
具体例を出してしまったら「版元からの指示・創作条件が有る」、つまり関与が有るとみなされるので。
その「こういう作品は禁止」というもの、それをかなり噛み砕いてぶっちゃけて言います。「自社の儲けを侵害する作品」、これだけです。
ではどういうものが儲けを侵害する作品か、それを挙げていきます。各版元によって細かい差はあるかと思いますが、これから挙げるのはどこも根っ子部分は共通している認識です。
①本やDVD等、作品自体をまるっとコピーした海賊版
②公式グッズと見間違えるくらいの同人グッズ
③原作を超える、もしくは原作と遜色無いくらいの作品
こんなところです。版元にとって、③がある意味一番困ります。
海賊版等の悪質な案件は出る所に出れば良いのでこれは法に任せます。
でも一個人が生み出した作品が原作を超えていた、或いは肩を並べるレベルだった。これは滅多に無い事ですが、取り締まる訳にもいかないです。
ただ、余程反響が有って同人誌が大量に売れ、更に一般にも広く認知されるようになったら大ごとですからそうも言ってられません。話し合いの席を必ず設けます。原作者を守らなければならないので。
ここまでご覧いただき、性的なものやグロテスクなもの、その他イメージを損ないそうなもの、そういうものに触れられていないじゃないかという疑問をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。
はい、触れてないです。それは心配しなくて大丈夫です。
むしろ「ドラえもんのその後」を描いた作品のように、オタクではない一般の方に「これ面白いからちょっと見て」というように、勧めるのに抵抗の無い作品の方が危ういかもしれません。
勧められた一般の方も「これは面白いし興味深い」と、悪気無く他への周知に一役かってしまうことさえあります。
これが性的だったり暴力的な、いわゆる他者に見せるのをためらうような作品ならどうでしょう?
見せた自分もなんで君はこんなのを手に取って読んだの?と神経を疑われる可能性を恐れるのではないでしょうか。
そういう恐れを乗り越えてでも「これはアブノーマルな作風だがぜひ読んでもらいたい」とオタクではない人間にさえ勧めるレベルの作品が現れたら、それこそが版元の恐れる「著作権を侵害する恐れのある作品」です。
余談になりますが、かつて某版元で働いていた時に「同人活動をして良いですか?」と聞いてくる若い方が年に数人はいらっしゃいました。
中には他の方が出した同人誌を送ってきて「こういうの良くないと思います」という方も。
「良いですか?」には勿論「良いです」とは言えませんので、私の先輩は「ごめんね、こういうのを聞いたらダメって言うしかないんだ。だから聞かなかったことにするね。いつも応援してくれて有難う」と電話を切っていました。
「良くないと思います」という方、同人誌は腐女子の社員たちが責任持って美味しく頂きましたのでご安心ください。寄贈ありがとうございます。
こういう場合は中を確かめ楽しんだ後は基本、ノーリアクションです。商業に載せられるレベルだったらスカウトに行ったかもしれませんが。
上記二つ、本当にやめて。本当に、勘弁して。忙しいんです。あなた方は長いお休みで暇持て余してるのかもしれませんが、こっちは年末進行お盆進行でゾンビになってるんです。かまってらんないんです。余計な仕事増やさないでください。電話を切った後の先輩、すごい声で泣きながらデスクの上のものヴウワアアアアアアアアッ!!!!!て巻き散らかして仕事に戻ったんです。
「知らんがな!好きに薄い本出せばええがな!好きなだけスケベせえや!」
現場からは以上です。
ですから、ゲイだろうがレズだろうが異性愛だろうが特殊性癖だろうがヘイト表現満載だろうが、その作風自体では「著作権を侵害する恐れのある作品」としては危惧しません。
先程も申し上げましたが、どんな傾向の作品だろうが、世にその存在を知らしめ、一大ムーブメントを引き起こすような傑作だったらその作者に何らかのアクションを起こします。
だから、心配しないでください。
悪質な海賊版やグッズを世に送り出したりしていない限り、或いは原作を超えるような珠玉の作品を生み出しているのでない限り、どんなオタクでも版元から接触される恐れはありません。
勿論あなたが「やべえ…俺原作者超えたな…これは発表出来ねえ…」と恐れおののく場合は、一度出版社の扉を叩いてみてください。そして原稿を見せながら「これ発表して問題無いっすか?」と聞いてみてください。担当が付くと思います。
それ以外はエロだろうがグロだろうがリョナだろうがヘイトだろうが、あなたは安心して二次創作を続けてください。大丈夫です。
これを真実かどうか判断するのは閲覧した方に委ねます。
今までに二次創作者が版元側から訴えられた件や、数ある公式様の見解や基準、ご対応と照らし合わせ、拙文は一つの指針としてご参照頂ければ幸いです。
最後に、二次創作やオタク同士のコミュニケーションが、より良い方向へ進むことを願います。
※ただしナマモノと呼ばれるジャンルについては当人が「コミケ行きたかったなーーー!!!俺総受けのR18同人誌買いたかったなーーー!!!!!」とでも言わない限りはそっと活動することをお勧め致します。